「なぜ阿字ヶ浦の海を目指したのか?」
それは単純に「ひたちなか市街から海に一番近いのはどこか?」と、ナビに相談した結果なのですが、その道すがら、ひとつの駅を見つけました。駅すぐ脇の踏切を渡るとき、「はて?どっかで見た駅だな・・・」と左手に見ながらも、決して待ってはくれない日の出に会いに向かったのですが、どうしても気になり、撮影を終わらせるとすぐに来た道を引き返すことに。
「やっぱり・・・」
それは先週本屋で購入した
「男の隠れ家」2月号の特集‘冬を愉しむローカル線’のなかで紹介されていた茨城交通湊線の終着駅、阿字ヶ浦駅。雑誌を見たときに「一度行ってみたいなぁ」と思っていたにも関わらず、今回のひたちなか行となぜか頭の中でリンクすることができず、「あっ、そうか!ここだったんだ!」と、まさに偶然の出会いとなったわけです。
湊線について「男の隠れ家」から抜粋引用して紹介すると・・・
湊線は大正2年、那珂湊~勝田間で開通し、その後、昭和3年に阿字ヶ浦まで延伸された。もともとは那珂湊の物資を輸送するための路線だったが、夏場は阿字ヶ浦に向かう海水浴客の利用が多く、一時は『海水浴列車』と呼ばれたこともある。また、湊線は関東屈指の短小ローカル線でもある。全長わずか14.3km。勝田を含め9駅をたった26分で走り抜ける。
まるでNゲージのジオラマそのままの雰囲気が漂うこの駅。1990年までは、夏の間だけ上野から海水浴客を運ぶ直通列車が乗り入れていたそうで、現在の単行ワンマン列車に不釣合いな長く広いホームは、その当時の名残のようです。
そして、もう帰ることもできない留置線の上で寂しく余生を送るのは、かつて北海道の羽幌炭鉱鉄道で活躍し、その後、湊線のイベントで使用されたキハ221。朽ちながらも冬の朝日に輝くその車体は、かつてこの場所に喧騒があったことを私に語りかけているかのようでした。
茨城交通湊線 阿字ヶ浦駅
茨城交通株式会社